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コラム~明日はどっちだ?~

2011年5月
新技術開発による汎用品市場からの脱却、
商社との連携で売上向上を目指す

直面する経営環境

プラスチック射出成形業の業況は持ち直してきてはいるものの、稼働率は依然リーマンショック前の8 割以下となっている。

最近、原材料であるナフサの価格も高騰してきており、利益が圧迫されている。特に汎用製品は価格競争に陥っており、納品した際に少しでも事故が起これば、採算割れとなってしまう厳しい状況が続いている。 

経営改善のヒント

軽量で加工が容易であるプラスチックは、工業製品を生産する上では欠かせない素材である。その半面、汎用品が大半であり、他社との差別化が図りにくく、需要が落ちると競合との受注競争に陥るため、利益率が極端に低くなる。

このような負の競争環境においては、技術的な差別化を図る必要がある。材料の特性、熱の調整、機械との相性など職人技で訴えるか、全く新しい素材の開発で技術革新を目指すか、やり方は様々であるが、いかにして汎用品市場から脱却するかがカギとなる。

具体的経営改善事例

平成合成㈱(神奈川県、資本金1,000 万円、従業員数23 名)は、08 年夏までは携帯電話や車輌搭載向けのプラスチック製汎用部品の注文が活況だったが、リーマンショック後の不況で需要が激減、厳しい状況にある。

プラスチック部品全体の需要が減少していることと、海外メーカーや採算を考えない受注による競合との競争激化で、単価も落ち込んでいる。

もともと製造装置にコストがかかることと、一定割合で人件費がかかるため、需要の落込みは利益率を直撃する。稼働率をいかにして上げるかが喫緊の課題となっている。

1.技術力をベースにした新技術への取組み

今のままでは、売上がジリ貧になることは明白であり、早急に新しい技術の確立とともに付加価値の高いプラスチック部品の製造を手掛ける必要がある。そこで当社は、社長が以前から注目していた新技術への取組みを開始することとした。

その新技術とは、取扱いの難しい液状のプラスチック原材料を利用した、透明度と硬度が高いプラスチック部品の製造である。一般的にガラスが利用されている携帯電話のディスプレー部分や、高温に耐える必要がある車載部品にニーズが予想され、この技術が確立できれば対象となる市場は大きい。

ガラスに比べ軽量化を図ることができ、加工も容易なため、様々な使途が考えられる。液状のプラスチック原材料は一般の原材料に比べ取扱いが難しい。強度や透明性を得るためには、機械の中にどのように流し込んでどのように圧力を掛けていけばいいかについて、かなり熟練したテクニックと生産テストが必要となる。

この点、当社には社長を始め、機械や原材料を知り尽くした技術者がいるため、試行錯誤を繰り返しながら量産化を目指して活動している。

2.今後の課題

技術的な問題をクリアするのは時間の問題であるが、一定の技術評価を受けた後、いかにして販路を開拓するかが課題となる。

当社自身は営業部門をもっておらず、プラスチック製品を取り扱う商社に営業面を依存している。うまく連携することで、早急に大口の供給先を開拓し、量産体制を敷くことによるコストの低減を行っていけるようにしなければならない。

2011年4月
公的助成金を組み込んだ製品
パッケージの提示による販路開拓

直面する経営環境

政府主導の環境対策の推進により、太陽光発電や高効率給湯器など環境機器の需要は盛り上がりつつあるが、いずれも補助金がないと企業や一般消費者の積極的な導入に結び付かない。

これはひとえに製造原価が依然高く、値ごろ感が出すことができないからである。削減できるエネルギーの料金で投資を回収するのに10 年かかるとなると、企業も家庭も導入に躊躇する。一方で、生産のロットが大幅に増えない限り原価低減は難しい。

経営改善のヒント

実現可能性の可否は別として、二酸化炭素削減の方向性は間違いない。削減を義務付けられる対象は少しずつ広がっており、エネルギー管理は身近な問題となる。

一方で回収を視野に入れた設備投資には踏み切りにくいといったジレンマを解消するのが自治体が用意する助成金である。顧客に導入してもらうには、単に製品の性能や削減効果を訴求するだけでなく、予算的な導入のハードルをいかに下げるかを考えなければならない。

公的な支援策の情報を収集し、提案の中に組み込むことが必要なのである。導入のハードルを下げることで普及を増やし、生産コストを削減させることができる。 

具体的経営改善事例

㈱エコマテリアル(東京都、資本金2,300 万円、従業員数5 名)は、熱を利用して動力を生み出し発電するエンジンを開発している。廃油、木くずなどを燃やしたり、既存の設備から出る廃熱を利用して発電し、カーボンフリーとなる電気の供給を通じて、二酸化炭素削減の支援を行うR&D 型のベンチャー企業である。

研究自体は進んではいるが、導入実績にまで至っていない。その理由は、導入コストが高いことと、理論は理解できても実際にどの程度の効果があるかが不明であるため顧客が導入を躊躇するという2点である。

1.助成金を前提とした提案

そこで、エンジンそのものの提案ではなく、熱源、設置場所、発電した電気の利用方法に加え、公的機関の助成金制度を組み込んだパッケージとしてアプローチを行った。

経産省やNEDO が実施する助成金制度を用いて、ある牧場と手を組むこととなった。牛の糞を活用したバイオマス燃料による熱で動く発電エンジンを取り付けたシステムの導入を目指している。

また、東北のある地方から出る間伐材をチップに加工し、それを炉で燃やし熱源として利用、発電するシステムの導入も目指している。これに関しては、基盤技術を活用することで利用できる助成金を申請する予定である。

2.実績作りが課題

進行している案件を完成させ、実績を作ることが、R&D 型のベンチャー企業が持つ共通の課題である。

当社のエンジンを用いて構築できる循環型のシステムをモデル化し、数値をとって実際にどの程度の二酸化炭素削減につながるかを検証する必要がある。また、人員が少ないため、社長の負荷がかなりかかっており、プロジェクトの進行には外部の人材の活用をしなければならない。

専門的な知識を有するので、今まで築き上げてきた人的ネットワークを活かしていきたい。

直面する経営環境

大手の電子部品製造業においては、中国をはじめとするアジアを中心とした需要の増加で明るさが見えてきているが、国内に軸足を置いた電子機器製造業は、いまだ回復には至っていない。家電の販売においても、一部の製品に売上が集中しており、かつてのような家電全体の販売が伸びているわけではない。

どの分野でも低価格化が進んでおり、機能的な付加による価格の上昇を狙っても、すぐに陳腐化してしまう傾向にある。

経営改善のヒント

売れる電化製品のキーワードとして「環境」や「衛生」「健康」といったものがある。

また、顧客対象をBtoC だけではなく、BtoB、あるいはBtoG(ガバメント:国・自治体)に目を向けることで、新しい販路が開け、いたずらに価格競争に巻き込まれることを避けることができる。自治体間の横のつながりにより、顧客の増加を図ることも期待できる。

具体的経営改善事例

共和電機㈱(東京都、資本金1,000 万円、従業員数15 名)は、電極に高電圧をかけることでマイナスイオンを発生させ、空気の洗浄・脱臭、ウイルスの殺菌を行うことができる製品を作っている。

マイナスイオンによるウイルスの殺菌や抗菌に関しては、新型インフルエンザの流行によって消費者の関心が高まり市場は拡大した。一方で、大手家電メーカーが市場に参入し、当社と類似の技術を用いて新しい製品を次々と市場に投入した。認知度、価格、デザイン面で劣る当社製品は、次第にその競争力を奪われていった。

 1.消費者向け販路からの脱却

そこで、競争の激しい消費者向けの一般家電市場から離れ、地方の自治体を介して公共施設への設置を中心とした販路に切り替えることとした。

地方のある県から依頼を受け、公立の幼稚園に大型の機種を設置したところ好評を得ることができた。その話を聞きつけた他県の自治体からもオファーが来ており、自治体を介しての設置が次第に拡大しつつある。
今後は、ウイルスに弱い子供や高齢者を囲う施設にターゲットを絞り込んで営業活動をしていく計画である。

こうした自治体向けの営業活動は、商談に臨んでから納品が決定するまでに少々時間がかかるが、家電市場のような価格競争に陥ることもなく、大型の製品を納品できるため利益率が高い。また、代理店を通さず、直接の販売ができることも利益率の向上に一役買っている。

 2.今後の課題

今まで、営業のほとんどを代理店に依存していたため、自社で行う営業活動に限界がある。現在行っている自治体との取引は、ほとんどが先方から来る話に乗る形であるため、今後はこちらから仕掛けていくことができる営業体制作りが必要となる。

一般家電市場と同様、大手メーカーの参入が始まる前に、一定のシェアや顧客からの評価を得る必要もある。
また、既に導入している施設からの声を収集して、今後の製品開発やアフターサービスに活用できるような体制作りが必要である。

プロダクトアウトの発想からマーケットインの発想への転換も求められている。

2011年2月
顧客評価をベースにした製品開発事例

直面する経営環境

飲食店向けの厨房機器業界は、飲食業界を襲った不況により店内の設備関連への投資が凍りつき、どこも販売台数に急ブレーキがかかっている。人件費や水道光熱費の削減になることが明確な機器が優先され、オペレーション上の改善や顧客満足を向上させるための厨房機器への投資が二の次となっている。

大手販売代理店が飲食店へ積極的に売り込む優先順位も必然的に低くなり、どの企業も思うような売上に結びついていない。

経営改善のヒント

販売に結び付けるためには、製品がユーザーに対してどのようなベネフィットを提供できるかを今一度整理し、どうしたらユーザーに理解してもらえるかを考える必要がある。
メーカー側の発想に基づき、「これができるから便利でしょう」と、ユーザーに対してベネフィットの押しつけになってはいないか。ベネフィットは何なのか、そのベネフィットにいくら出すかは顧客が決めることなのである。

つまり、製品の開発から販売までを一貫して、顧客目線で考えられ実践されているかを今一度見直すべきである。

具体的経営改善事例

㈱コーリング(東京都、資本金4,000 万円、従業員数5 名)は、飲食店向けに食器を洗浄する際の手助けとなる機器を製造販売している。

発売当初は、その斬新な発想からマスコミにも多数取り上げられ、販売代理店の評価も高かったが、実際に市場に出してみると、ユーザーからの反応は想像以上に厳しく、販売台数が伸び悩んでいた。その理由は、顧客が受けるベネフィットと設定されていた価格にミスマッチがあったことと、作り手としては便利だろうと思って付加した機能が、ユーザーにとってはどうでもいいことであったという、まさにプロダクトアウトの発想からもたらされるものであった。

1.顧客評価を重視した開発・販売の実施

そこで、製品に対して受けた顧客からの評価を盛り込んだ新機種の開発をすることとした。

基本的なコンセプトはそのままで、機能をシンプルにし、価格を従来の半分に下げた。販路に関しても、代理店販売への依存から、直販を重視するモデルに変更した。展示会へ積極的に出店し、飲食店関係者と直接コミュニケーションをとることで、機械の利用方法やその機能を理解してもらい、製品が提供できるベネフィットをダイレクトに訴えていった。

こうした、ユーザーとの直接のコミュニケーションは、導入によってどれだけ厨房内の生産性向上に貢献できるかを説明するセールストークの精度も向上させた。

また、飲食市場のみならず、グラスや食器を磨くという行為を行う業界、例えば高級グラスメーカー、漆器メーカーに対して働きかけを行うことで、新しい市場の開拓を行っていくこととした。

2.今後の課題

顧客への直接販売に重点を置くこととしたため、どうしても営業効率が悪く人員数の限界が売上の限界となってしまう。

ある程度製品に対する認知度が向上したら、今後は代理店販売の活性化策をとる必要が出てくる。メンテナンスや消耗品の供給を通じて、顧客とのリレーションシップを強化し、次の製品開発に活かすことも課題となる。

過去のコラム

固定客をいかにして作り、その固定客にどうやって情報を発信していくかを、ステーキハウスをモデルとして報告しています。
その後篇です。

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固定客をいかにして作り、その固定客にどうやって情報を発信していくかを、ステーキハウスをモデルとして報告しています。
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マーチャンダイジング戦略立案のポイントを、わかりやすく解説しています。

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これからの日本において、人口減少は避けられません。このような時代に我々は、どのようなマーチャンダイジングを行えばいいのでしょうか。

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2010年6月 バランススコアカード活用のすすめ

2010年5月 不況を乗り切るための質問力

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2010年1月 今日からできる飛び込み営業と新規開拓営業

2009年11月 人を管理する立場に求められるのは 迅速で的確な判断です

2009年10月 顧客の視点に立ったマーケティング(4P、4Cと時間)

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